5月30日に、東京都行政書士会の定時総会が行われました。
私は行政書士ADRセンター東京のセンター長として初めて登壇し、答弁をさせて頂きました。
会員の皆様からご質問を頂き、東京都行政書士会のADR事業に対して関心をお寄せ頂いていることが分かり、嬉しく感じました。

総会で議決された議案書のうち、行政書士ADRセンター東京の部分について、掲載いたします。

平成28年度 行政書士ADRセンター東京 活動方針

1 行政書士ADRセンター東京の社会的使命・理念

 「紛争を話し合いで解決するという選択肢のある社会の実現」
 私たち行政書士が参入する司法分野で果たすべき最終的な使命は、話し合いによる紛争解決が出来る選択肢のある社会を実現すること、当事者が自主的に紛争を解決できる社会を構築することです。

2 行政書士ADRセンター東京の目的・ビジョン

「紛争解決の分野で行政書士の地位を確立し、行政書士に対する国民の支持と信頼を獲得する」

 私たち行政書士は、昨年の行政不服審査代理権の獲得に関する行政書士法・行政不服審査法の改正を待つまでもなく、国民と行政との間に立ち、両者間でのやりとりが円滑になるよう努める役割を歴史的に担ってきました。形式的には依頼者である国民の側に立ちながらも、白か黒か、勝ちか負けか、という二者択一ではなく、どうすればWin-Winの関係になるのかという視点で様々な分野においてそれぞれの業務に取り組んできたと言えます。この点において、行政書士は「対話による紛争解決」を担うに相応しい立ち位置にあると考えます。行政書士ADRセンター東京では、全国の行政書士会を牽引する存在として、先んじて紛争解決の分野における行政書士の地位を確立、行政書士に対する国民の支持と信頼を獲得することを目指します。会長の掲げる「そうだ、行政書士に相談しよう!」を紛争解決の分野で実現します。

3 目的を達成するための3つの柱

 ・ 対話促進型調停の推進
 ・ ADR関与行政書士の養成
 ・ ADRに関する研究・普及啓発とADR代理権獲得に関する協力

 上記目的を達成するために、次のことを行います。

(1) 対話促進型調停の推進

 私たちが選択した対話促進型調停とは、「紛争を解決できるのは当事者自身である」という理念のもと、紛争当事者が相手方との対話により紛争を解決するための話し合いの手続きです。第三者である調停人が紛争当事者の間に入り、対話を促進することによって紛争解決を目指します。トレーニングを積んだ調停人が、紛争当事者相互の話をよく聴き、立場や主張の裏に隠れたニーズを調停の場で明らかにすることによって紛争当事者間の相互理解を深め、紛争当事者が自分たちの課題として捉え自ら解決にあたるためのお手伝いを致します。第三者から与えられた解決策ではなく、紛争当事者が本当に納得のできる解決策を模索するための話し合いであり、第三者ではなく当事者自身が解決策を模索することによって、解決策として約束した内容に責任を持ち、その履行をより確実にするという意図と効果があります。この対話促進型調停の推進によって、上記の目的を達成します。

(2) ADR関与行政書士の養成

 調停実施のほか、目的を達成するためには、ADRに関与する行政書士の増加が不可欠です。すなわち、ADR事業を担う人材の確保のみならず、ADR事業に理解のある会員の増加、行政書士が紛争分野に進出し活躍するという業界内のムーブメントの創出をもって、国民の行政書士に対する認知・理解度を向上させ、支持と信頼を得ることで地位の向上を図り、ひいては国民の利便に資する上述の目的を達成します。

(3) ADRに関する研究・普及啓発とADR代理権獲得に関する協力

 前項のほか、ADRに関する研究・普及啓発を通じて、新規分野の開拓を含む紛争の取扱範囲の拡大や、将来的に紛争解決分野における行政書士の地位を強化するためのADR代理権獲得について、日行連と協力体制を築きながら全国の行政書士会とともにその任を遂行します。

4 平成28年度事業計画

 上記方針を実現するための、具体的手段としての平成28年度事業計画は下記のとおりです。

活動テーマ「情報発信と案件増加」

 現在のADR事業を取り巻く環境は、平成27年度とそれほど変化していません。抱えている課題の中でも、事業に対する会員の理解不足の要因となっている情報発信の不足、及び事業の推進力となっている取り扱い事件数の少なさをまずは克服すべき課題と考えます。そのため、平成28年度も、引き続き「情報発信と案件増加」を活動テーマとして掲げ、事業執行してまいりたいと思います。

(1) 対話促進型調停の推進

① 行政書士ADRセンター東京の適正な運営

 東京都行政書士会が運営する法務大臣認証紛争解決機関「行政書士ADRセンター東京」を適正に運営いたします。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 運営委員会等の委員会、小委員会、各会議の実施
(イ) 調停手続の実施(受付業務、事前相談、重要事項説明、手続管理業務を含む)
(ウ) 適正な運営のための規程改正及び法務省に対する変更認証申請等の手続事務
(エ) 適正な調停実施のための各種マニュアル・ガイドラインの作成
(オ) その他、適正な運営に資する環境の整備とリソースの確保

➁ 行政書士ADRセンター東京の広報

 行政書士ADRセンター東京及び本会のADR事業を会員及び国民に周知するための広報活動を実施します。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 関係団体への訪問、プレスリリース等の広報活動
(イ) 一般市民向け公開講座の実施
(ウ) 他団体との共済イベント開催及び人員派遣
(エ) ウェブサイト更新等デジタルツールを活用した情報発信
(オ) リーフレット・パンフレット等広報ツールの作成
(カ) 会員向け公開講座、支部担当者会議の実施による支部・会内向け広報活動
(キ) 会報による情報発信及び活動報告

(2) ADR関与行政書士の養成

①「調停人候補者等養成研修」等の実施

 従来より行われている「調停人候補者等養成研修」等の研修について、内容の見直しを含め検討し、研修センター主催のもと、全面的に協力し実現に寄与します。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 新たに調停人候補者等になるための研修の実施
(イ) 既に調停人候補者等名簿に登載された者のための再任・ブラッシュアップ研修
(ウ) 受講生の適正な管理のためのデータベース等の整備
(エ) 調停人候補者等のための研修制度の検討

➁ 相談員養成研修などの実施

 行政書士ADRセンター東京が有する対話促進型紛争解決手法を応用した相談技法について、会内に普及させ、行政書士の相談能力向上に寄与します。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 相談技法の普及啓発を含む行政書士相談員のための研修の実施
(イ) 各支部への相談員養成のための講座等への講師等の派遣
(ウ) 本会他部署が主催する相談員養成のための講座等への講師等の派遣
(エ) 学校問題等の場面における技法の提供に関する活動
(オ) 家事・民事調停委員等輩出のための人材養成・技法の提供に関する活動
(カ) その他、行政書士が相談員として知識・技術を身につけるための養成に資する活動

③ 他部署の要請に応じた会議への参加、イベントの実施、広報活動

 本会内の他部署と連携し、事業を適切に執行するため、各種会議やイベント等に出席し、横の繋がりを重視した事業執行に努めます。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 本会内の他部署が主催する会議やイベントへの参加
(イ) 本会内の他部署と共催の相談会等の実施
(ウ) その他、他部署からの要請に応じた活動

(3) ADRに関する研究・普及啓発とADR代理権獲得に関する協力

① 学会・他団体イベント及びセミナー等の参加

 本会がADR関係分野における名誉ある地位を占めるのに資するため、各種学会や行政を含む他団体の行事等に積極的に参加します。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 仲裁ADR法学会、日本ADR協会シンポジウム、司法アクセス学会、ペット法学会等学会の参加
(イ) 動物愛護週間、交通安全週間等に企画された行政・他団体が実施するイベント等への
参加
(ウ) 行政の担当部署、日本愛玩動物協会等が主催する各種セミナー・シンポジウム等への参加
(エ) その他ADR関係団体との連携に資する活動

➁ ADRに関する研究

 本会が全国のADR事業を牽引する役割を担うため、ADRに関する実務や手続について、継続して研究活動を行い、行政書士会のADRの発展に寄与します。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 調停実務に関する研究及び研究会の実施
(イ) 調停手続管理に関する研究及び研究会の実施
(ウ) 取り扱い専門分野に関する研究及び研究会の実施
(エ) 日行連が進めるADR代理権獲得のための活動に関する協力・連携
(オ) その他ADRに関係する事項についての情報収集と研究活動

③ 法改正情報等の収集・研究

 本会がADR事業を行う上で必要となる法令・法改正情報等を積極的に収集し、会内での情報共有に努めます。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 関係法情報に対する情報収集活動及び法令研究
(イ) 関係法改正に関するパブリックコメント等の対応

④ 日行連・他単位会への協力・連携

 本会が全国のADR事業を牽引する役割を担うため、日行連及び他単位会からの協力要請
に対応し、連携に努めます。具体的活動は以下のとおりです。
(ア) 日本行政書士会連合会裁判外紛争解決機関推進本部等への協力・連携
(イ) 既認証取得単位会及びADRセンターへの協力・連携
(ウ) 未認証取得単位会の認証取得に対する協力・連携
(エ) その他、行政書士会が推進するADR事業への協力・連携