chairs 出オチですが、

 「聴くこと」

 です。

 私たちの業界的には「傾聴」と呼ぶのが通常です。

 カウンセリングでも、コーチングでも、ファシリテーションでも、大切だ、と言われますが、メディエーションにとってもやっぱり一番大切なのは「聴くこと」だと私は考えます。

 まぁ傾聴がスキルかどうか、というところは異論があるかもしれませんが、そこは今回の主題ではありません。
 (スキルの側面もあるし、姿勢・考え方・ポリシー的な側面もあると思っています。)

 メディエーションは、紛争を解決したい当事者がお互いに話し合って何らかの合意をする、という手続です。そのプロセスにおいて、当事者が相手に対して抱いている要求や主張を、見方を変えることによって当事者間に共通して横たわっている課題の構成要素として捉え直す、という作業が必要であり、メディエーターはそのお手伝いをする役割を担っています。
 つまり、そもそも当事者が相手に対して抱いている要求や主張を、メディエーターはきちんと聴かなければいけません。さらに、その捉え直す作業の前提として、当事者から出されている要求や主張の背景に表面から見えない本音の部分があるのであれば、それを引き出してあげる必要があります。そのためには、やはり当事者の話をよく聴く必要があります。なぜなら、メディエーターと当事者の間に信頼関係を構築しなければ、その背景の存在を読み取るのは困難だからです。

 では、どうすれば相手の話をよく聴くことができるのでしょうか。
 多くの書籍で様々なことが書かれていますが、今のところ私が考えているのは次の3つです。

1 興味をもつこと
2 想像すること
3 伝え返すこと

 おそらく、1が一番難しく、3が一番易しいと思います。

 1は、相手や相手の話している内容に興味をもつことが必要で、これは強制的にできるものではないですし、自分の心にウソを付くことはできないので、表面的にやろうとしても意味も効果もありません。したがって、最もハードルが高いのではないかと思います。謙虚な気持ちで、その対象を知ろうとする姿勢、を要すると思うのですが、年齢を重ねると自分の知識や経験や感情が邪魔をして、なかなかできない人が多い、のが印象です。

 2は、相手の経験を自分の身になって考えたり、自分に置き換えなくても相手がどういう経験をしたのかをトレースしたりするために、様々な想像をすることです。これは逆に自分自身の知識や経験や感情が多いほど豊かな材料になると思っています。

 3は、よく巷で言われている、「私はあなたの話を聴いていますよ」というサインです。1や2ができていても、やっぱり無表情、ノーリアクションのままでは、相手は聴いてくれているとは思えず、結局「聴いている」ことにはなりません。これは、最初はぎこちなくてもトレーニングで何度も繰り返すことによって、慣れて自然に行うことができるようになるので、そういう意味では一番易しいと感じています。

 ここまで書いて、タイトルを「相手の話を傾聴するための3つのこと」とかにすればよかったと思いましたが、迷った結果そのままにします(笑)。