今日は日本行政書士会連合会の定時総会に出席してまいりました。
今回は会長選挙があり、東京会から会長の常住先生が立候補されていましたので、非常に落ち着かない日々が続いていたのですが、結果は残念ながらわずかに届かず落選となってしまいました。
私自身は東京会の代議員の一人として、尊敬する先輩行政書士の一人である常住先生を応援していましたので、残念な気持ち、悔しい思いでいっぱいです。
が、それはそれとして、個人的には、今回初めて総会で質問というのをさせていただきましたので、そちらで緊張していたりもしました。
思い返せば、東京会の総会でも、行政書士ADRセンター東京のセンター長として答弁はしたことがあっても、質問はしたことがなかったような気がします。
というわけで、自分の質問も含めて、本日の総会で行われた、ADR関係のトピックについてまとめてみましたので、興味のある方はご覧ください。
(写真は、撮影頂いた林先生に許可を頂いて掲載させて頂きました。再質問時の自分。)
行政書士ADRセンター東京のセンター長になり、日行連の代議員になってからは、毎年ADR関係の質問と答弁はその日のうちにまとめるようにしています。
本当は代議員として、全てのトピックについて何らかご報告ができると良いとは思うのですが、自分に関係しているところについてまとめるのが手一杯なのが現状です。
その点はご容赦頂ければと思っています。
また、議事を録音しているわけではなく、私が聞いてメモしたものを見て書き起こしているため、表現が変わっていたり、趣旨が変節していたり、極端な話、間違っている可能性もないではないのですが、その点も予めご容赦願えればと思います。
以下、「質問」に関しては質問書記載の原文ママ、「答弁要旨」についてはその名の通り答弁についてメモしたものを元に書きまとめたもの、「再質問」「再答弁」に関しては短かったので趣旨をできるだけ変えないようにまとめたもの、というようになっています。
(答弁者は全て杉山久美子日行連ADR本部長です。)
■第1号議案
1.質問書26頁(議案書22頁) 高野雅史代議員の質問について
(質問)「裁判外紛争解決手続推進本部」1及び2について
行政書士が行うADR代理権とは、どのような代理権を言うのか。
すでに総務省・法務省との間で、行政書士ADRセンターに対する代理権を検討しているものと漏れ聞こえているが、行政書士ADRセンターに対する代理権が、いつから行政書士が行うADR代理権になったのか。
裁判外紛争解決手続推進本部において、行政書士が行うADR代理権の定義、ADR代理権の分野及び範囲など、いつどのように決定したのか伺いたくここに質疑をいたします。
(答弁要旨)
質問のように総務省・法務省との間で行政書士のADR代理権に関して何か定義付けをしたことはなく、ADRセンターに対する代理権ということを検討・決定したことはない。
しかし、今後の展開を考える上で、ADRセンターに対する代理権とするのは、最初のステップとして穏当ではないかと考えている。それはどのような分野で活用できるかという話であって、ADR代理権主体としての検討ではない。いずれにしても、早急には無理だと考えている。この点に関して、総務省・法務省とADR本部との間で具体的に決定した事項はない。
以前の段階では、行政書士のADR代理権に関しては実績不足として見送られた経緯があるが、今回総務省・法務省との間で、何をもって実績と判断をされるか、についてやり取りを重ね、能力担保、代理権に対する分野、根幹業務などについてしっかり検討している。
(再質問)
特定行政書士との関係で遠慮されている様子ですが、それとは別と考えるべきです。そろそろ代理権について取り組んでいただきたいと要望します。
(再答弁)
先ほど頂戴した言葉を受け止め、しっかりと機を逃さずやってまいりますのでよろしくお願いいたします。
2.質問書27頁(議案書22頁) 鈴木哲代議員の質問について
(質問)ADR手続実施者の養成について
ADR手続実施者の養成は、大阪会においてもかなり大きな負担となっており、日行連のビデオ・オン・デマンド(VOD)を含む研修プログラムを頼りにしているのであるが、これまで日行連が認証取得を推進してきた割には、その支援が貧弱であったことは否めない。
そこで、手続実施者の要精に関して、どのような計画の元にこれまで事業を行ってきたのか、さらに、これからどのように行うかをお聞きしたい。
(答弁要旨)
日行連ADR本部では、手続実施者の養成を1つの検討課題として、年月をかけて検討し、施策を実施してきた。今でも、どのような方法で少しでも各単位会の負担を軽減すればよいかについて、日夜議論を重ねている。
行政書士の行う対話促進型調停の調停人を養成するため、日行連ADR本部ではVODコンテンツの作成及び調停人養成研修を行ってきた。調停人養成研修においては、各単位会で研修をすることを目的に講師を育成するトレーナー研修、スキル・トレーニングを行うスキル研修の2つを行ってきた。VOD作成については、日行連の研修サイトにおいて公開し、コンテンツの充実を図ってきた。現在は4分野含め一通りのものは完成している状態である。
今後の展開については、次のADR本部に対して申し送り事項としたいと思う。
3.質問書28頁(議案書22、23、29頁) 奥山浩実代議員の質問について
(質問)ADR認証及び成年後見支援センター設置等について
① 行政書士法改正の充填要望項目と決定され、また、裁判外紛争解決手続推進本部を設置され会を挙げて鋭意取り組んでおられるADRについて、議案書によれば、現時点で認証取得済みの単位会は、北海道、宮城、東京、神奈川、埼玉、新潟、愛知、大阪、京都、奈良、和歌山、兵庫、岡山、山口、香川の15単位会と記載されておられます。
② (略)
ADRは、行政書士の代理権がなければ広がらないと思います。
なおかつ、今後の行政書士の職域拡大にとって欠かすことができない重要施策だと思料いたします
①について、現在いずれの単位会が認証申請中、予定であるのかを含め、今後の展開を。
② (略)
そして、あわせて、ADRに関して行政書士の代理権取得のための用件を具体的に同感がどうクリアしていくおつもりか、その見通しも含めてお聞かせください。
(答弁要旨)
現在認証取得を進めている単位会は、福島、長野、静岡、三重、福岡会と聞いている。特に福岡に関しては事前相談が終了した段階であるとのこと。
ADR本部の今後の進展としては、認証取得を考えている単位会のバックアップはもちろんのこと、認証取得した各単位会のセンターのPRをしていきたい。具体的には法務省のかいけつサポートへのウェブサイトへのアプローチなど。いずれにしても次の本部への申し送り事項としたい。
ADR代理権の経緯については今までお示ししたとおり。行政書士の取り扱う職域の専門性に関する定義付けについても法務省等と検討していく必要がある。また、民民間の紛争性のある分野に参入していくので、より一層の研修、特に職業倫理の見直しなどについて検討していく必要がある。
今後は、取扱分野に関する決定をおこなうほか、国民に対して良い作用があることが必要であると考えている。特定行政書士とどう関係づけていくかについても、継続して検討しており、一つ一つクリアしていく必要があると思う。今後の見通しについては新しいADR本部に委ねたいと思う。
■第3号議案
1.質問書53頁(議案書63頁) 光永謙太郎代議員の質問について
(質問)ADR代理権の獲得について
いつもお世話になっております。標題の件についてご教示ください。
1.進捗状況と今後の具体的なスケジュール(現時点での見通しで結構です)
2.ADR代理権の付与の形をどのようにデザインされているか
1)行政書士全員に対して付与されることを目指すのか、一定の研修・考査を経た行政書士に限定されるのか
2)一定の研修・考査を経た行政書士に限定される場合、特定行政書士制度との関係をどう考えるのか(ADR代理権を付与された者、特定行政書士、両方の資格を持つ者、それ以外の4種類が生じることになるのか)
3)ADR代理権の範囲についてどのように考えているか
例えば、次の4段階があると思われるが、どの範囲を考えているのか
① 訴訟を除くあらゆる紛争についての代理(交渉代理を含む)
② 裁判所を除く、紛争解決のための第三者機関(ex.二弁の仲裁センターなど)に持ち込まれた紛争の当事者代理
③ ADR法に基づく認証を受けた認証紛争解決事業者(他士業のも含む)に持ち込まれた紛争の当事者代理
④ ADR法に基づく認証を受けた認証紛争解決事業者(行政書士会のに限る)に持ち込まれた紛争の当事者代理
4)取り扱う紛争の範囲として4分野以外のものも含まれるのか、4分野の中から限定するのか
3.平成17年10月20日に日行連ADR本部から発信されている「ADR(裁判外紛争解決手続)への取組方針」について変更はないのか
4.平成20年3月26日に日行連と日弁連との間で締結されている「基本合意書」について改定はないのか
(答弁要旨)
1について、第1号議案のほうで答えたとおり、ADR代理権については法務省と折衝し、総務省と検討している段階に入っている。今後は、他士業の代理権制度、研修制度を参考にしながら具体的なプログラム等の作成に入っていきたいと考えている。総務省にも非常にご協力頂いている。
2について、一定の研修・考査を経た者に限定されるものと考えている。その場合に特定行政書士制度との関係については、先ほど示したとおり別の制度と捉えている。具体的方策に関しては未定だが、連携したいと考えている。代理権の範囲に関しては、④が最初のステップと認識しており、そこから広めていくのがよいのではないか。分野の範囲についても、一義的には、現在の取扱いのある4分野の中から選定して行くのではないかと考えているが、次期のADR本部に検討を引き継ぎたいと思っている。
3及び4については、現状、変更、改定の予定はない。
(再質問)
明快な答弁をありがとうございました。これは要望になりますが、3及び4については再検討をお願いしたいと思っています。特に、4に関しては日弁連という相手のあることなので難しいかもしれませんが、3については平成17年という10年以上前に作成されたもので、現在の状況にそぐわない部分も見られますので、見直しを含め再検討をしっかりと次期執行部に引き継いで頂きたいと思っています。
(再答弁)
しっかりと引き継いでまいりたいと思います。
2.質問書54頁(議案書63頁) 高野雅史代議員の質問について
(質問)「裁判外紛争解決手続推進本部」1及び2について
「認証取得済単位会課題検討協議会の開催」とあります。
この協議会の議題というのは、すでに決定しているのでしょうか。
すでに協議会の議題内容が決定しているという場合には、「その他」という枠でも構いませんので、「大規模災害時における行政書士ADRの活用について」ぜひ討論していただきたい。
大規模災害時における被災者が抱える法的な問題のなかに、愛護動物の問題、賃貸住宅の原状回復問題がありますので、ぜひ情報収集していただいて、行政書士ADRの非常時の活用をもっと研究して、行政書士ADRの発展につなげていただきたいので、ここに質疑をいたします。
(答弁要旨)
協議会の議題について、本年度はまだ決定していない。次期の執行部で決定するものと捉えている。しかしながら、御提案のものに関しては非常に有用であるので研究、検討も含め、しっかりと次期執行部に引き継ぎたいと考えている。
(再質問)
提案に関しては、行政書士のADRをよく知っていただきたい、という思いから延べたもので、是非前向きに進めていただきたいと考えています。特に、他の士業に遅れを取らないように次の執行部への申し送りをしっかりお願いします。
(再答弁)
私自身も、行政書士のADRは非常に世の中の役に立つと考えており、しっかりと引き継ぎたいと思っています。
以上