(羊も豚も無かったのでとりあえずライオン・・・)

(羊も豚も無かったのでとりあえずライオン・・・)

 もうタイトルからそのままなのですが、先日こんなニュースが有りました。

 「死んだ羊、無許可で埋めて処分 北海道羽幌町運営の牧場」(日本経済新聞より)

 まあ要するに、牧場で飼っていた羊が死んでしまったら敷地内に埋めて処分していた、これを長い期間行っていた、ということなのですが、これは化製場法(化製場等に関する法律)違反となります。

 動物法務の講義では割と頻繁にお伝えしているのですが、犬や猫とは違って、牛や馬などの家畜を処分する場合は、化製場法によって規制されています。
 正確には、「死亡獣畜取扱場」に当たると思いますが、それぞれの定義は以下のとおりです。

■化製場等に関する法律
第1条 この法律で「獣畜」とは、牛、馬、豚、めん羊及び山羊をいう。
2 この法律で「化製場」とは、獣畜の肉、皮、骨、臓器等を原料として皮革、油脂、にかわ、肥料、飼料その他の物を製造するために設けられた施設で、化製場として都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けたものをいう。
3 この法律で「死亡獣畜取扱場」とは、死亡獣畜を解体し、埋却し、又は焼却するために設けられた施設又は区域で、死亡獣畜取扱場として都道府県知事の許可を受けたものをいう。

 そして、その第2条にある通り、許可を受けた施設以外で処分することが禁じられています。

第2条 獣畜の肉、皮、骨、臓器等を原料とする皮革、油脂、にかわ、肥料、飼料その他の物の製造は、化製場以外の施設で、これを行つてはならない。
2 死亡獣畜の解体、埋却又は焼却は、死亡獣畜取扱場以外の施設又は区域で、これを行つてはならない。ただし、食用に供する目的で解体する場合及び都道府県知事の許可を受けた場合は、この限りでない。

 ここで、大事なことは、ちょっと前にペットとしてミニブタを飼うというブームがありましたが、(ミニブタとは言え予想以上に大きくなることで話題を呼んでいましたが)亡くなった場合は、自宅の庭などに気軽に埋めてはいけない、ということです。
 上の条文にある通り、豚であるミニブタは、その処分について化製場法で規制されているのです。

 なかなか一般の方で飼っている方は少ないと思いますが、実際知り合いにはいますので、身近といえば身近な話です。

 ちなみに、講義では、同法9条によって(犬も含めて)多頭飼育が規制されている、という話もトピックとしてはよくお伝えしています。

第9条 都道府県の条例で定める基準に従い都道府県知事が指定する区域内において、政令で定める種類の動物を、その飼養又は収容のための施設で、当該動物の種類ごとに都道府県の条例で定める数以上に飼養し、又は収容しようとする者は、当該動物の種類ごとに、その施設の所在地の都道府県知事の許可を受けなければならない。(以下略)

 これを受けて、施行令により次のとおり定められています。

■化製場等に関する法律施行令
(法第9条第1項の政令で定める動物の種類)
第1条 化製場等に関する法律 (以下「法」という。)第九条第一項 の政令で定める動物の種類は、次のとおりとする。
1 牛
2 馬
3 豚
4 めん羊
5 やぎ
6 犬
7 鶏(30日未満のひなを除く。)
8 あひる(30日未満のひなを除く。)
9 その他その飼養又は収容に関して公衆衛生上の配慮が必要な動物として都道府県の条例で定める動物

 そして、東京都の場合は、「化製場等の構造設備の基準等に関する条例」により次のとおり定められています。

(動物の種類及び数)
第9条 飼養又は収容の許可が必要な動物の種類及び数は、次の各号のとおりとする。
1 牛 1頭
2 馬 1頭
3 豚 1頭
4 めん羊 4頭
5 やぎ 4頭
6 犬 10頭
7 鶏(30日未満のひなを除く。) 100羽
8 あひる(30日未満のひなを除く。) 50羽

 したがって、例えば、都内の一般家庭で(無許可で)犬を10頭以上飼うことは、この条例に抵触しかねないので控えましょう。