birds 今日は、何の脈絡もありませんが、鳥獣保護法という法律をざっくりご紹介しようかと思います。

 動物関係法令の講義をする機会が何度かあったのですが、講義でお話する割とメジャーな法律の中に、この鳥獣保護法という法律があります。正式には、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」というのですが、皆さんも「鳥獣保護区」などの言葉は聞かれたことがあるのではないでしょうか。

 この法律は、何のために定められているかというと、最終的には、「自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保」と「地域社会の健全な発展に資すること」がその目的です。
 そして、その最終目的にはステップがあって、「鳥獣の保護」及び「狩猟の適正化」を行うことによって、「生物多様性を確保」し、「生活環境を保全」し、「農林水産業を健全に発達」させる、この過程を経ることが含まれていますよ、というのが法律の第1条のところに定められています。

 この目的を達成するために、鳥獣保護法では主に次のことを定めています。

1.鳥獣の保護を図るための事業の実施
2.鳥獣による生活環境、農林水産業、生態系に係る被害の防止
3.猟具の使用に係る危険の予防

 ここで、鳥獣とは具体的に何を指すかについても、条文で定められているのですが、「鳥類又は哺乳類に属する野生生物」というのがその内容です。
 ちなみに、平成14年の法改正によりネズミ・モグラ類、海棲哺乳類が追加されましたが、80条で「環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす鳥獣又は他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣」については除外されています。具体的には、ニホンアシカ・アザラシ5種・ジュゴン以外の海棲哺乳類、いえねずみ類3種がこの法律の対象外になっています。

 そして、肝心な法律の中身ですが、規制の内容としては、主に以下の5点です。

1 鳥獣の捕獲等の規制
2 鳥獣等の飼養・販売等の規制
3 生息環境の保護・整備
4 狩猟制度の運用
5 その他の必要な制度

 この、鳥獣の捕獲・飼養等の規制で、勝手に捕まえてはいけない動物や、飼ってはいけない動物がある、という話になるわけです。鳥獣保護区や各地方自治体の条例の絡みなどで、場所によって少しずつ異なっていますが・・・。

 鳥獣保護管理の実施主体としては、国、地方自治体、事業者等がその役割を担うことを期待されており、次のようにまとめられます。

法律・基本指針等により、鳥獣保護行政の方向性を示し、取組を促進
都道府県 科学的・計画的な鳥獣保護管理の推進
市町村 鳥獣保護事業の実施
事業者・民間団体・市民 理解を深め活動に参加
専門家等 必要に応じて適切な助言・指導

 以上、簡単にご紹介させて頂きました。
 スズメやツキノワグマを捕獲する際はご注意ください。