dog01 以前にも書いたかもしれませんが、最近まわりに咬傷事故(こうしょうじこ)が多いので、もう一度書いてみます。

 犬に限らず、動物の口の中は雑菌、病原菌であふれています。ペットの咬傷事故は、非常に怖いものであるという認識を多くの方に持ってもらいたいと思っています。特に飼い主の方は、ご自身がご自身のペットに舐められたり甘咬みされたりすることの許容度が高く、他人も同様の認識だと考えがちなので、トラブル発生の原因になりやすく、特に注意していただきたいと思います。

 感染症予防的、医学的な話は、愛玩動物飼養管理士試験の勉強や早稲田大学の市民公開講座の中で学んだだけで、私自身は専門家というわけではなく詳しくありませんので、今回は法律的な話です。

 よく、犬に咬まれたのだがどこかに届け出なければならないのか、という質問を受けることがあります。地方自治体によって異なるのですが、東京都の場合は、東京都動物愛護条例によって以下のとおり定められています。

第29条(事故発生時の措置)
 飼い主は、その飼養し、又は保管する動物が人の生命又は身体に危害を加えたときは、適切な応急処置及び新たな事故の発生を防止する措置をとるとともに、その事故及びその後の措置について、事故発生の時から24時間以内に、知事に届け出なければならない。
2 犬の飼い主は、その犬が人をかんだときは、事故発生の時から48時間以内に、その犬の狂犬病の疑いの有無について獣医師に検診させなければならない。

 つまり、咬傷事故(人が咬まれた場合)の場合、事故発生から24時間以内に知事への届け出が飼い主には義務付けられています。この場合の知事への届け出は、保健所が窓口になっていることが多いので、保健所だと思って頂いて良いと思います。東京都の場合は以下のとおりです。

23区 区の保健所
多摩地域 動物愛護相談センター多摩支所
八王子市 八王子保健所
町田市 町田市保健所
島しょ地域 島しょ保健所各出張(支)所

 ちなみに、人が咬まれた場合以外は、対象になっていません。例えば、飼い犬が他人の飼い犬に咬まれた場合には、届け出は不要です。
 また、届け出以外にも、事故発生現場での応急処置や新たな事故発生の防止措置も、飼い主には義務付けられていますのでご留意ください。

 次に、「犬の」咬傷事故の場合は、犬の飼い主(加害者側)の義務として、48時間以内に、自分の飼い犬を獣医師に検診させ、狂犬病の疑いの有無について明らかにしなければならない、というルールが有ります。

 これは、ウサギやネコなど犬以外のペットの飼い主には義務付けられていない特別ルールです。狂犬病については、犬以外の哺乳類にも罹患する可能性があるのですが、犬を飼う人が特に多いことから特別にルールが付加されているものと思われます。
 逆に言うと、犬の飼い主以外でも動物の飼い主であれば、咬傷事故の24時間ルール(知事への届け出)は適用されますので、注意して頂ければと思います。

 以上、咬傷事故について書きましたが、東京都以外については各自治体の法令をご確認頂ければと思います。また、ご不明の場合は、お仕事としてご依頼頂くことも可能ですのでご用命ください。