建設業の許可についての基礎知識
建設業許可申請に関する基本的な事項をご案内します。
建設業とは(建設業法2条)
建設業とは、元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請け負うことをいいます。建設業の種類は全部で28種類あり、建設業法などの法令で規制されています。
建設業法の目的
建設業法の目的は、大きく次の2つになります。
1)建設工事の適正な施行を確保し、手抜き工事や粗雑工事などの不正工事を防止、積極的に適正な施行を実現して、発注者の保護を図ること
2)個人生活や社会生活の基盤となる諸施設の整備を担う重要な産業である、建設業の健全な発達を促進すること
以上の目的を達成する手段として建設業法は次の2つを示しています。
1)建設業を営む者の資質の向上 → 建設業許可制、技術検定制度
2)建設工事の請負契約の適正化 → 請負契約原則明示、契約書記載事項制限など
建設業許可を必要とする者(法3条)
建設業を営もうとする者は、28種の建設業の種類ごとに、全て国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受ける必要があります。
ただし、次の軽微な建設工事に関しては許可を受けなくてもすることが出来ます。
1)建築一式工事以外の建設工事
1件の請負代金(消費税含む)が500万円未満の工事
2)建築一式工事で次のいずれかに該当するもの
① 1件の請負代金(消費税含む)が1500万円未満の工事
② 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の工事
(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)
建設業許可の種類(法3条)
営業所の場所・数によります。建設工事自体はどこが現場でも構いません。
国土交通大臣許可:二つ以上の都道府県に営業所がある場合
都道府県知事許可:一つの都道府県に営業所がある場合
(営業所とは、請負契約の締結にかかる実体的な行為を行う事務所のことをいう)
建設工事と建設業の種類
全部で28種類あります。土木一式、建築一式の許可を持っていても、各専門工事の許可を持っていない場合は、消費税込み500万円以上の専門工事を単独で請け負うことは出来ません。
土木一式工事 | 建築一式工事 | 大工工事 | 左官工事 |
とび・土工・コンクリート工事 | 石工事 | 屋根工事 | 電気工事 |
管工事 | タイル・れんが・ブロック工事 | 鋼構造物工事 | 鉄筋工事 |
ほ装工事 | しゅんせつ工事 | 板金工事 | ガラス工事 |
塗装工事 | 防水工事 | 内装仕上工事 | 機械器具設置工事 |
熱絶縁工事 | 電気通信工事 | 造園工事 | さく井工事 |
建具工事 | 水道施設工事 | 消防施設工事 | 清掃施設工事 |
営業所の要件(法3条)
営業所は、少なくとも次の要件を満たす必要があります。申請後、立入り調査を行うこともあります。
① 請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
② 電話、机、各種事務台帳等を備え、居住部分等とは明確に区分された事務室が設けられていること
③ 経営業務の管理責任者又は建設業法施行令3条の使用人(①に関する権限を付与された者)が常勤していること
④ 専任技術者が常勤していること
建設業の許可区分(一般建設業と特定建設業)
建設業の許可は、一般建設業と特定建設業に区分されています。同一業種について、一般と特定の両方の許可は受けられません。
【参考エントリ】建設業許可の区分について
建設業許可の有効期間
許可の有効期間は、許可のあった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了となります。(休日でも同じ)
従って更新手続をとらない場合は、期間満了とともに許可の効力を失い、営業することが出来なくなります。(申請が期間満了前に受理されていれば、満了後も従前の許可が有効となります)
建設業許可の基準(建設業許可を受けるための要件)
建設業の許可を受けるためには、以下の要件を備えなければなりません。
① 経営業務の管理責任者が常勤でいること
② 専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること
③ 請負契約に関して誠実性を有していること
④ 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
⑤ 欠格要件等に該当しないこと
建設業許可申請手続の流れ
1 事前相談
↓
2 申請書提出(窓口審査)
↓
3 手数料納付等
↓
4 受 付
↓
5 審 査
↓
6 許可・不許可
↓
7 通知書送付
建設業許可申請の手数料
◯国土交通大臣
・新規、許可換え新規、般・特新規:登録免許税15万円
・業種追加又は更新:手数料5万円(収入印紙)
◯都道府県知事(東京都の場合)
・新規、許可換え新規、般・特新規:手数料9万円(現金納付)
・業種追加又は更新:手数料5万円(現金納付)
建設業許可の申請区分
1 新規:現在有効な許可をどこの許可行政庁からも受けていない場合
2 許可換え新規:他都道府県知事許可→新しい別の都道府県知事許可
都道府県知事許可→国土交通大臣許可
国土交通大臣許可→都道府県知事許可
3 般・特新規:一般建設業→特定建設業
特定建設業→一般建設業
4 業種追加:一般建設業→他の一般建設業
特定建設業→他の特定建設業
5 更新:許可を受けている建設業を引き続き行う場合
6 般・特新規+業種追加:3と4の同時申請
7 般・特新規+更新:3と5の同時申請
8 業種追加+更新:4と5の同時申請
9 般・特新規+業種追加+更新:3と4と5の同時申請
解体工事業の登録について
「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」(「建設リサイクル法」)に基づき、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業の建設業許可なく、家屋等の建築物、その他の土木工作物(建築物等)を解体する建設工事(解体工事)を営なむ場合は、元請・下請の別にかかわらず、都道府県知事による解体工事業の登録をしなければなりません。