sengyo 船舶は、その航行区域によって内航船、外航船という呼び方をすることがあります。外航船は、外国の港まで行ったり、日本の領海の外へ出て行く船のことを指し、内航船は日本の海をしか航行しない船のことを指すのが一般的です。

 内航船の場合、遠くの厳しい海まで出かける外航船に比べると、装備が軽かったり、鉄板が薄くてもOKな基準で設計されていたりします。

 この、内航船、外航船の違いですが、固定資産税に関しても異なり、特に農林水産省の方で「漁船に対する特例」として漁業者に対する税制優遇措置を設けています。

 リンク先のページにもありますが、この特例の内容は以下のとおりです。

区分 対象 課税標準
外航船舶 ・総トン数500トン以上の漁船
・農林水産大臣が許可・承認する漁業に従事する総トン数90トン以上500トン未満の漁船
船価の1/6
準外航船舶 ・農林水産大臣が許可・承認する漁業に従事する総トン数45トン以上90トン未満の漁船 船価の1/4
内航船舶 上記以外の漁船(遊漁船等を除く) 船価の1/2

この根拠法令に関しては、地方税法349条の3第5項、6項に基づくものです。

■地方税法 第349条の3(変電又は送電施設等に対する固定資産税の課税標準等の特例)
5 主として遠洋区域を航行区域とする船舶として総務省令で定めるもの(以下この項及び次項において「外航船舶」という。)又は外航船舶以外の船舶のうち主として遠洋区域を航行区域とする船舶で外航船舶に準ずるものとして総務省令で定めるもの(以下この項及び次項において「準外航船舶」という。)に対して課する固定資産税の課税標準は、前条の規定にかかわらず、外航船舶にあっては当該外航船舶の価格の6分の1の額とし、準外航船舶にあっては当該準外航船舶の価格の4分の1の額とする。
6 外航船舶及び準外航船舶以外の船舶(専ら遊覧の用に供するものその他の総務省令で定めるものを除く。)に対して課する固定資産税の課税標準は、前条の規定にかかわらず、当該船舶の価格の2分の1の額とする。
7 前項に規定する外航船舶及び準外航船舶以外の船舶のうち、離島航路整備法(昭和27年法律第226号)第2条第2項に規定する離島航路事業者が専ら同項に規定する離島航路事業の用に供するものに対して課する固定資産税の課税標準は、前項の規定により課税標準とされる額に3分の1を乗じて得た額とする。

 これを受けて、地方税法施行規則11条の2及び11条の3で以下のように定められています。

■地方税法施行規則 第11条の2(法第349条の3第5項の船舶)
 法第349条の3第5項に規定する主として遠洋区域を航行区域とする船舶として総務省令で定めるものは、次に掲げる船舶とする。
一 次に掲げる船舶(以下この項において「総トン数500トン以上の船舶等」という。)であって、当該年度の初日の属する年の前年(以下この項において「前年」という。)中の外航就航日数の全就航日数に対する割合(以下この項において「外航就航率」という。)が2分の1を超えるもの
イ 総トン数(船舶のトン数の測度に関する法律(昭和55年法律第40号)第5条第1項に規定する総トン数をいう。以下この項において同じ。)500トン以上の船舶
ロ 漁業法(昭和24年法律第267号)第52条第1項若しくは特定大臣許可漁業等の取締りに関する省令(平成6年農林水産省令第54号)第3条第1項の規定による許可に係る船舶(次項において「許可に係る船舶」という。)又は指定漁業の許可及び取締り等に関する省令(昭和38年農林省令第5号)第32条の規定による届出をして漁獲物を輸送する船舶(第4号及び次項において「運搬船」という。)であって総トン数90トン以上500トン未満のもの
ハ 海上運送法(昭和24年法律第187号)第19条の4第2項又は第20条第1項の規定による届出をして旅客を輸送する船舶であって総トン数100トン以上500トン未満のもの
二 前年中の外航就航率が零を超え、2分の1以下である総トン数500トン以上の船舶等であって、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの
イ 前年前4年から前々年までのいずれかの年において外航就航率が2分の1を超えていること。
ロ 前年中にとん税法(昭和32年法律第37号)第2条第1項の外国貿易船として特別とん譲与税法(昭和32年法律第77号)第1条第1項に規定する開港に入港した回数が3以上であること。
三 前年中の外航就航率が零である総トン数500トン以上の船舶等であって、前年前4年から前々年までのいずれかの年において外航就航率が2分の1を超え、かつ、外航就航実績のあつた年が、前年前4年以前に建造されたものについては前年前4年から前々年までに3年以上、前年前3年中及び前年前2年中に建造されたものについては2年以上あるもの
四 前年中に建造された総トン数500トン以上の船舶等であって、次に掲げるもの
イ 総トン数500トン以上の船舶であって、総務大臣が当該船舶の構造、資格等からみて主として遠洋区域を航行区域とすると認めるもの
ロ 総トン数90トン以上500トン未満の船舶であって、主として漁業法第52条第1項の規定による許可又は特定大臣許可漁業等の取締りに関する省令第3条第1項の規定による許可を受けて行う漁業に従事すると認められるもの
ハ 総トン数90トン以上500トン未満の運搬船
ニ 総トン数100トン以上500トン未満の船舶であって、主として海上運送法第19条の4第2項又は第20条第1項の規定による届出をして旅客を輸送していると認められるもの
2 法第349条の3第5項に規定する外航船舶に準ずるものとして総務省令で定める船舶は、許可に係る船舶、運搬船並びに指定漁業の許可及び取締り等に関する省令第33条の規定による届出をして使用する火船及び魚探船で、総トン数45トン以上90トン未満のものとする。

第11条の3(法第349条の3第6項の船舶)
 法第349条の3第6項に規定するその他の総務省令で定める船舶は、次に掲げるものとする。
一 専ら遊覧の用に供する船舶
二 快遊船
三 遊漁船
四 モーターボート競走法(昭和26年法律第242号)の規定によるモーターボート競走の用に供するモーターボート

 条文にすると少しややこしくなりますが、まとめると以下のようになります。

◆外航船舶
1 外航就航率(外航就航日数の全就航日数に対する割合)が2分の1を超える、次の船舶
  総トン数500トン以上の船舶
  総トン数90トン以上500トン未満の、指定漁業の許可船舶
  総トン数90トン以上500トン未満の、指定漁業の届出運搬船
2 外航就航率が0~2分の1以下だが、前年前4年~前々年までのいずれかの年に2分の1を超えている上記船舶
(3、4は割愛)
◆準外航船舶
総トン数45トン以上90トン未満の許可船舶、届出運搬船、届出火船、届出魚探船
◆内航船舶
遊覧船、プレジャーボート、遊漁船、モーターボートを除くそれ以外の船

 船舶は資産としては大きなものなので、固定資産税の額もこの特例により大きく異なってくると思われますし、漁業者の方はチェックされると良いかもしれません(実際の適用については、所轄官庁等に必ずご確認・ご相談ください)。