総論

海事法規とは、海上航行に直接関係のある法規の総称である。

■特色

1.海上には陸上と異なった危険があり、これらへの配慮がある。
2.航海により陸上から孤立するため、陸上と異なる措置が講じられている。
3.船舶の財産的価値に着目した規定がある。
4.海運の国際的性格から、国際的に統一した内容が求められている規則がある。

■分類

海事法規 海事私法 海商法
国際海上物品運送法
etc..
海事公法 海上労働法 船員法
etc..
海上交通警察法 船舶安全法
船舶職員及び小型船舶操縦者法
港則法
水先法
海難審判法
etc..
その他の法律 船舶法
関税法
etc..

船舶法

・船舶法に船舶の定義はない。
・社会通念上の船舶:物の浮揚性を利用して、水上を航行する用に供される一定の構造物

船舶法の適用除外

1.海上自衛隊の船舶(自衛隊法109条)
2.小型船舶(総トン数20トン未満)、端舟、ろかい舟(法20条)
3.総トン数1トン未満の無動力漁船
4.小型漁船(総トン数20トン未満)は測度と船名標示のみ適用あり

日本船舶の要件

1.日本の官庁又は公署の所有
2.日本国民の所有
3.日本の法令により設立した会社 → 代表者全員と業務執行役員の2/3以上が日本国民
4.3以外の法人 → 代表者全員が日本国民

日本船舶の特権

1.国旗掲揚権(法2条) → 国籍推定力
2.不開港場(関税法施行令別表1以外の港)の寄港及び沿岸貿易権(法3条)

日本船舶の義務

1.船籍港を定め、測度、登記、登録をして国籍証書を備置(法4~6条)
2.国旗掲揚・標示(法7条、細則43~47条)
3.国籍証書の検認(法5条の2)

船舶国籍証書と仮船舶国籍証書

1.船舶国籍証書は、所有権の公示(第三者対抗要件)の一つ(商法687条)
2.小型船舶登録法が適用される日本船舶には、任意の申請により国籍証明書が交付(小型25条)
  (船舶法、小型船舶登録法が適用されない日本船舶には、希望により日本船舶であることの証明書が交付)
3.トン数証明書としての効果(総トン数及び尺度)
4.国旗掲揚及び航行の要件となる(法6条) →ただし、臨時航行許可証等があればOK
5.船舶所有権の移転の対抗要件(登記の他に船舶国籍証書の書き換えが必要)
6.記載事項に変更が生じた場合は2週間以内に書き換えする(法11条)
7.仮船舶国籍証書は交付に一定の制約がある点、有効期間がある点が異なる