こんばんは。
最近サイゼリヤの辛味チキンがナイフとフォークで食べられるようになりました。
まぁそれはさておき、今日は「IPN分析」の話です。
知らない人にとっては「何?」と思われると思うのですが、私のまわりの対話促進型調停ファンの間では割とメジャーな単語です。
これは、紛争の構造を俯瞰したときに、当事者の主張をP(Position)、その背景事情・背後に隠された本音をN(Needs)、対立点・争点をI(Issue)に分解して、理解に努めるという紛争の分析手法の一つです。
Needsの部分はI(Interest)にして、IPI分析、と呼ばれる先生もいらっしゃいますが、Iが2つ重なって分かりにくいので、私はIPN分析という言葉の方をよく使います。厳密にはNeedsとInterestは違うのですが、あまり気にしなくても良いかと思います。
さて、実際にどのような感じで分析するかというと、拙い例で恐縮ですが、ちょっと紹介してみます。
例えば、ケンタくんとリカちゃんが中学校の文化祭の演劇で何をするかでもめているとします。ケンタくんは正義とは何か、友情とはなにか、という哲学的な問いを改めて考えたい、という思いから桃太郎をやりたい、リカちゃんは英国児童文学における精神分析学の与えた影響を表現してみたい、という思いから不思議の国のアリスをやりたい、と主張しています。
この場合に、「桃太郎をやりたい」「不思議の国のアリスをやりたい」というのがそれぞれの当事者のPosition、「正義とは何か、友情とはなにか、という哲学的な問いを改めて考えたい、という思い」「英国児童文学における精神分析学の与えた影響を表現してみたい、という思い」がそれぞれのNeedsになります。
そこで、Issueとしては、「ケンタくんとリカちゃんが中学校の文化祭の演劇で何をするか」という趣旨のフレーズを掲げ、調停人は当事者が考えるべき主題を明示してあげます。
いつも思うのですが、レジュメで文章化すると、国語の文章問題のようになってしまって、何か違うなと感じています。まぁテキストベースで伝えようとする場合はこれが限界なのかもしれません。
実際には、話し合いの真っ只中において、こんなキレイに分析できる場合は稀だと思います(まず当事者の主張がよく分からない)。
モノノホンではよくハーバード流交渉術の紹介でオレンジを欲しがる姉妹の話が取り上げられます。あれと似たようなものですね。
一つだけ留意していただきたいことは、コレはあくまで分析手法の一つなので、必ずしもコレを利用しなければならないわけではない、ということです。しかし、多くの先達が研究を重ねてきて今に至っているわけで、この手法の有用性は非常に高いと言えると思います。なので、私が講義をする場合は、まずはコレを「息を吸うように無意識にできるようにしてくださいね」とお伝えしています。
もちろん、自分もまだまだ修行中なので、皆さんと一緒に身につけていけたらと思っています。