日本国憲法や法律では、教育についてどのように定めているでしょうか。
ざっと概観しておさらいしてみたいと思います。
まず、憲法26条で次のように定められています。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。
つまり、憲法では、教育を受ける権利を保障し、子どもに普通教育を受けさせる義務を課しています。
子どもに就学義務があるのではなく、親に課している、という点が中学の社会科の授業などでポイントとして教えられたことを思い出されるのではないでしょうか。
そして、この「法律の定めるところにより」という文言を受けて、教育基本法が定められ、教育の機会均等、義務教育、学校教育や教育行政制度の基本などが明らかにされています。
教育基本法では、大まかに次の事項が定められていると言われています。
1)教育の理念
2)教育制度の基本
3)教育行政
すなわち、教育の目的(1条)、教育の目標(2条)、教育の機会均等(4条)等で教育の理念を、義務教育(5条)、学校教育(6条)、教員(9条)、政治教育(14条)、宗教教育(15条)等で教育制度の基本を、教育行政における役割分担等(16条)、教育振興基本計画(17条)、法令の制定(18条)等で教育行政についてを、それぞれ規定しています。
この、最後の18条が、教育基本法を実施するための各種法令の根拠条文となっています。
例えば、学校教育法では、学校制度すなわち幼稚園から大学までの各学校に関して網羅しており、全部で140以上の条文数となっています。
学校設置者の管理や経費負担(5条)、懲戒と体罰(11条)、学校で受ける健康診断(12条)、義務教育の年限(16条)、義務教育の目標(21条)、などもここで定められています。
学校におかれる職種(校長や教頭など)についても記載がありますので、忘れないようにしたいものです。
また、実際の実務上は、下位法令である学校教育法施行令や学校教育法施行規則などの確認も非常に重要になります。
その他、教員免許の基準を定めた教員職員免許法や、教育委員会制度について定めた地方教育行政法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)、公立学校の教員の職制や身分等について定める地方公務員法や地方公務員特例法、学校保健と学校安全について定める学校保健安全法、などもおさえておきたい法令となります。